イギリスのEU離脱は、日本の移民政策への警告

BBC発表のイギリスEU離脱国民投票の結果

投票結果2

日本の報道をみていると、イギリスがEUから離脱した理由は
低所得者層が自分たちの雇用を守るため、だとか
保守的な高齢者が、差別的に移民を排除したいため、だとか
報じられていますが、BBCのサイトを読んだり、
英国に住まわれている方の発言を読んだりしていると、
実情はもう少し複雑なようです。

イギリス在住の元国連職員、”めいろま”さんという方が
twitter界隈で活躍されているのですが
彼女のツイートを参考にして、離脱の理由を
整理してみたいとおもいます。
めいろまさんの発言まとめ

 

Q:イギリスにはどれくらい移民が入ってくるのですか?

A:年間25から30万人、EUからは年間18万人です。

Unknown

1980年、イギリスの人口は5633万人でした。
移民が入ってきたため2016年には、
924万人増の6557万人になりました。
イギリスの人口推移
イギリスへの移民内訳

Q:なぜ、イギリスには多くの移民が来るのですか?

A: EU加盟国のスペイン、イタリア、ギリシャなどの失業率が高い国では、月収が約5万程度。しかし、イギリスに来れば、最低でも月収25万になるのに加えて、イギリスは、移民に親切で、英語が通じるため、ドイツやフランスより選ばれるのです。そして、EU国籍なら無職でもビザが必要なく、福祉も受けられるからです。

一方、EU加盟国以外からの移民の場合、
就労許可が必要だし、永住権をとらない限り、福祉も受けられません。

 

Q:なぜ、イギリスはEUから離脱したのか?

A:政府の想定をはるかに超える
年間約18万人もの移民がイギリスに入ってきたために
急激に人口が増え、自治体はそれに対応できなかった。
そして、以下のような問題が起きた。

  • 混む
  • 雇用が奪われる
  • 不動産や家賃の高騰
  • 医療がまともに受けれない
  • 税金、社会福祉費が移民に使われる
  • 秩序の崩壊、治安の悪化
  • 一度入ってきた移民は帰らない、そして強制送還もできない。

※ここからは、めいろま女史のツイートをまとめたもの、引用したものです。

/混む
電車、病院、教室などは人でいっぱい。

 

/雇用が奪われる
人手不足のイギリス国民では、
就職しやすく、賃金が上がるのが普通であったのに
移民が入ってきたことにより、移民が職につき賃金も上がらない。
イギリス国民は、移民に職を奪われた形になる。

 

/不動産、家賃の高騰
移民が入ってきたため、
不動産に対する需要が激増して、供給が追いつかない。
年に24万の新築住宅が必要だけれども、17万件しか建てられない。
住宅不足で持ち家も、賃貸も値段が激増。公営住宅も順番待ち状態。
ロンドン郊外では、給与の半分以上が家賃、
新卒の若者が中古1DKの購入頭金を貯めようとおもうと24年の労働が必要。

 

/医療がまともに受けられなくなり
EU国籍の移民は治療が無料であるため、
国立病院の患者が急増
緊急救命は4-7時間待たなければならず
検査は数ヶ月待ちが当たり前となり
医師が足りないため、手術はキャンセルされることが日常
出産後、入院していられる日数は1週間から1日に
そして、外国人には税金で通訳をつける必要がある。

 

/社会福祉費などが移民にとられ
移民は納税していなくても、子供手当てがもらえる。
その制度を悪用した例としては、
ルーマニアのマフィアがイギリスで子供手当てをもらい
ルーマニアに送金するというものがあった。
イギリス国民の税金が移民母国に送られた。

 

/秩序の崩壊、治安の悪化
貧しい不法移民がフランス側のトンネルから隠れて大挙したため
ユーロスターが不通になり、周辺の道路が封鎖され
地元経済に大打撃を与えた。

公立の学校に英語が得意でない外国人生徒が激増し、授業が成り立たず
教室は人でいっぱいになった。

もしトルコがEUに加盟すると、トルコにきているシリア難民もおのずと
イギリスに入ってくることになる。そうすればテロリストもイギリスに
簡単に入ってこれることになる。

 

/低所得者層のみが反対したわけではないという根拠

イギリス離脱に関するBBC公式ツイート

CltIy-XWQAAMr7m
めいろまさんツイート引用ここから

アッシュフォードは離脱。ここはユーロスターのトンネル入り口で、緑豊かな郊外。貧困地帯ではない。不法移民がトンネルに無理やり侵入したためユーロスター不通になり周辺の道路が封鎖で地元経済に大打撃。昨年は酷かった。
BBC報道

 

デフレパートの出身地シェフィールドは離脱。元々ナイフやフォークなどのカトラリー生産をやっていたが、製造業地位低下で過疎化。ヨークシャーの大学町。貧乏ではないが金持ちでもない。
BBC報道

 

イーストヨークシャーは離脱。ヨークシャーは離脱が大半。
BBC報道

 

シェークスピアの故郷のストラトフォード=アポン=エイヴォンも離脱。美しい街で貧困ではない。貧困地域=離脱支持、という見方は間違い。
BBC報道

引用おわり

 

結論
ドイツ、イギリス、スウェーデンなどは
過去に、労働力、生産年齢人口(15歳から64歳まで)が不足するという状況にあり
その解決法として移民という手段をとりました。

しかし、それらの国は、すべて問題を抱えているのが現状です。
ドイツ、スウェーデンは治安が悪化してますし、
イギリスは今回、整理したような問題を抱えています。

日本も同じように、生産年齢人口の減少という問題を抱えようとしているのですが
果たして、移民という手段が適切な解なのかというのは
先に移民を受け入れた国の状況をみるかぎり、
とても怪しいと考えざるをえないとおもいます。

少なくとも、移民先進国が陥った問題*1を解決しない限り、
安易に移民政策を採るべきではないと
今回のイギリスEU離脱が警告してくれているのではないでしょうか。
(*1 自国民の雇用喪失、治安悪化、税収減少、社会福祉費増加、移民増による自国民の主権喪失、移民によるスラム化など)

移民受け入れを検討している日本において、周回遅れた理想を持たず、それらの社会実験の末、なぜいま各地でEUから脱退しようという動きが起きているか考慮されることを望みます。

日本のマスコミが、これらの問題を報道しないので
情報を取ることが手間ですが、もし、移民問題に興味を持たれたら、

「移民 ドイツ」「移民 スウェーデン」

などでググってみることをお勧めして、今回の整理を終わりたいと思います。
Brexitというパンドラの箱

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